
赤ちゃんはママのお腹で、スクスクと成長していきます。
しかし先天性異常は、ほんのわずかな乱れによって起こります。あまり知りたくはないでしょうが、知ることで避けられることもあります。できるだけリスクを下げたい先天性異常の種類や原因をご紹介します。
先天性異常の種類
先天性異常の発生について
先天性異常の発生率は、出産時で1~2%と報告されています。その後、成長するにしたがって心臓・血管・内臓・脳などに異常が現れるため、小学交に上がるまでに6~7%に増加します。
さらに、中高年になってからの糖尿病や高血圧、生活習慣病なども、胎児期の体内環境を原因とする「胎児プログラム」という考え方があります。
もっとも多い先天性異常
日本でもっとも多い先天性異常は、口唇・口蓋裂(こうしん・こうがいれつ)0.3%、多指症・合指症(たししょう・ごうししょう)0.09%、多趾症・合趾症(たししょう・ごうししょう)0.08%、無脳症0.07%です。
先天性異常の種類と発生人数
先天性異常 | 1万人中(人) | 説明 |
口唇症・口蓋症 | 35.0 | 口唇がさけた口唇裂、口腔と鼻腔の隔てている口蓋が裂けた口蓋裂 |
多指症・合指症 | 9.9 | 手の指が多い多指症、手の指がくっついている合指症 |
多趾症・合趾症 | 9.4 | 脚の指が多い多趾症、脚の指がくっついた合趾症 |
無脳症 | 7.8 | 脳の一部または全部が欠損している |
ダウン症候群 | 5.1 | 21番目の染色体が1本多いことで、肉体的成長の遅延、特徴的な顔つき、軽中度の知能障害がある |
水頭症 | 4.1 | 髄液が頭蓋骨内にたまり、脳室が大きくなる。また脳が圧迫されることで、脳機能に影響を与える |
鎖肛 | 3.8 | 肛門が無いか正常な位置にない。尿道・膣・肛門がひとつになることもある |
耳介変形 | 3.0 | 耳の穴以外の外に出ている部分の奇形 |
耳介低位 | 2.7 | 耳の位置が正常より低い |
脊髄髄膜瘤(二分脊椎) | 2.4 | 背骨の一部が欠損して、脊椎のなかの脊髄が外にむき出しになっている状態 |
尿道下裂 | 2.1 | 男子のペニス異常、尿道の出口が陰茎の下(途中)にある |
先天性異常の原因
先天性異常の原因は不明な点が多いです。原因として明らかなものは、遺伝子異常(40%)、胎児環境因子(10%)、原因不明(50%)です。下に先天異常との因果関係が特定された主なものをまとめました。へその緒からは多くの化学物質が検出されていますが、異常との因果関係が証明されていないので割愛します。
化学物質が原因の先天性異常
先天性異常の原因 | 主な先天性異常 | |
アルコール | お酒 | 胎児アルコール性症候群、子宮内発育遅延、精神発育遅延、小頭症、眼球異常、関節異常、眼裂短小など |
PCB/ポリ塩化ビフェニール | 土壌汚染 | 子宮内発育遅延、皮膚変色など |
メチル水銀 | 魚介類 | 大脳萎縮、痙直、てんかん発作、精神発育遅延など |
プロジェステロンなど | 男性ホルモン剤 | 女性胎児の男性化、陰唇癒合、生殖器の性別不鮮明など |
ジエチルスチルベストロール/DES | 女性ホルモン剤 | 子宮や膣の異常、子宮頚部のびらん及び隆起など |
炭酸リチウム | 向精神薬 | 心臓や血管などの異常 |
メトトレキセイト | 抗リウマチ薬 | 多発奇形(顔面・頭蓋・四肢・脊柱など) |
レチノイン酸 | ビタミンA | 頭蓋顔面異形症、口蓋裂、胸腺無形症、心臓脈管の異常、神経管異形など |
テトラサイクリン | 抗菌薬 | 歯の変色、エナメル質低形成など |
サリドマイド | 抗多発性骨髄腫 睡眠薬・胃腸薬 | 四肢の部分欠如・完全欠如、顔面異常、心臓奇形、腎臓奇形など |
トリメタジオン | 抗てんかん薬 | 発育遅延、V字型眉毛、耳介低位症、口唇裂、口蓋裂など |
感染症が原因の先天性異常
先天性異常の原因 | 主な先天性異常 | |
サイトメガロウィルス | 感染症 | 小頭症、感覚神経障害、精神発達障害、水頭症、脳性まひなど |
ヘルペスウィルス | 感染症 | 子宮内発育遅延、皮膚変色など |
HIV/エイズウィルス | 感染症 | 大脳萎縮、痙直、てんかん発作、精神発育遅延など |
風疹ウィルス | 感染症 | 女性胎児の男性化、陰唇癒合、生殖器の性別不鮮明など |
トキンプラズマ症 | 感染症 | 子宮や膣の異常、子宮頚部のびらん及び隆起など |
梅毒トレポネーマ | 感染症 | 心臓や血管などの異常 |
物理学的な原因による先天性異常
先天性異常の原因 | 主な先天性異常 | |
放射線 | 検査・その他 | 小脳症、精神発育遅滞、感覚神経障害、骨格形成異常など |
母体の発熱 | 風邪など | 神経系発達異常など |
羊水過多、羊水過少、子宮奇形 | 不明 | 骨格形成異常、姿勢異常など |
先天性異常の原因の一例をあげましたが、体内から検出される化学物質はまだまだたくさんあります。これらが胎児に対して、何らかの影響を与えていることは、疑いのない事実かもしれません。
原因不明の原因?
先天性異常の原因の半分は「原因不明」ということです。原因不明とは「原因が特定されていない」または「因果関係が公式に証明されていない」などによるもので、決して分かっていない分かっていないけわけではありません。
その原因不明の中で、もっとも影響を与えていると思われるのが、食品からの化学物質汚染と体内の蓄積です。食品に含まれる汚染物質は「食品に流産確率を上げる原因物質を発見!その対策とは?」でご紹介しています。
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参考文献・引用出典文献:「「へその緒が語る体内汚染」未来世代を守るために」著者 森千里 千葉大学大学院医学研究院教授 医学博士ほか(技術評論社)/「体内汚染と胎児・乳児」著者 長山淳哉 医学博士(ニュートンプレス)/「胎児の複合汚染」著者 森千里 千葉大学大学院医学研究院教授 医学博士(中公新書)ほか、
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