
流産は防げるの?
流産の確率を上げる原因に、医薬品や感染症などによる体内汚染があります。
その多くは自分が注意することで、ある程度防ぐことができます。しかし防ぎようがない汚染経路があったのです。それが食品からの食物連鎖汚染です。その流産の確率を左右する原因物質が判明しました。
流産の確率を高める汚染物質
へその緒から、様々な化学物質が検出されています。その検出率は100%で、妊婦さん全員が程度の差はあれ、汚染していることになります。
ここでは、へその緒から検出された10種類の化学物質についてご紹介します。
それ以外の薬品などの影響については「誰にでも起こりうる先天性異常の種類と原因」でご紹介しております。
胎児に悪影響をあたえる化学物質
ここでご紹介している化学物質の多くは、数十年前に製造が中止され、使用も禁止されています。しかし魚介類の食物連鎖や土壌汚染による農作物を通して、私たちの身体に入ってきます。そして蓄積した結果が、赤ちゃんに影響を与えています。それが流産の確率を上げる原因ともされています。
全般的な特徴!
これらの化学物質は、低分子で脂溶性という性質があります。一度体内に入ると排出しづらく、脳や子宮などの狭き門も楽々通過し、蓄積する特徴があります。また自然に分解されずらく、今でも土壌や河川、海や人体を汚染し続けています。
ダイオキシン類
へその緒(臍帯)から微量ながらも100%の確率で検出されます。
いろいろな種類があるので「ダイオキシン類」といわれます。ごみの焼却(不完全燃焼)や薬品の合成時に発生します。自然には分解されにくいので、長い間土壌を汚染し続けることになります。
発がん性物質で、催奇性も確認されています。米国がベトナム戦争時に枯葉剤として散布し、その後奇形児が大量発生したことでも有名です。
PCB類/ポリ塩化ビフェニール
ダイオキシン類の一種で、人工的に生産された有機塩素化合物です。
耐熱性や絶縁性に優れているため、変圧器やコンデンサーに使われていました。しかし「カネミ油症事件」をキッカケに、1973年に製造と輸入が禁止されました。それなのに汚染し続けています。
DDT/ディクロロディフェニルトリクロロエタン
殺虫剤成分で、以前はマラリアや発疹チフスなどの伝染病対策に使われました。強力な殺虫効果により、農薬や害虫駆除剤としても効果を発揮しています。
日本では、戦後の衛生状態が悪い時代に、子供たちに直接振りかけていました。その後DDTの危険性が問題になると、1971年に農薬の登録が終了しています。製造販売も中止になってから40年以上経っていますが、今でも川底や海底、人体から検出されます。
DDE/ディクロロディフェニルディクロロエチレン
DDTが体内で代謝され、生成される物質です。DDTが検出されない人でも、100%検出されます。
ヘキサクロロベンゼン
除草剤、殺菌剤、防カビ剤として使われました。発がん性が認められ、肝臓・腎臓・甲状腺にも影響を与える。
1979年に製造・輸入が禁止されていますが、今でも検出されます。2001年のストックホルム条約にて、残留性有機汚染物質に指定されました。
ヘキサクロロシクロヘキサン
家庭用殺虫剤や農薬として使用されていましたが、日本では1971年に使用が禁止されています。発がん性や変異原性が認められています。
エンドサルファン
農薬として現在も使われています。特に中国では大量に使われています。神経中枢や血液に影響をあたえ、肝不全や腎不全が生じることも確認されています。
トランスノナクロール
シロアリ駆除剤や農薬として、1986年まで使われていました。体内からは100%検出されます。
トリブチルスズ
船底に貝が付着するのを防止するために、塗料に混ぜて使われていました。今でも使っている国があるようです。海洋汚染は微量ですが、沿岸の貝類(イボニシガイ)などに、生殖器異常が数多く発生しています。
カドミウム
鉱石の採掘や精錬する際に環境を汚染します。今でも「ニッケル・カドミウム電池」に使われています。軟骨化症や腎障害を起こすことで、富山県のイタイイタイ病の原因にもなっています。喫煙者の血中からも、高濃度のカドミウムが検出されます。
流産予防の決め手とは?
これらの汚染物質は、体内に長く存在します。特に子宮を汚染して流産や染色体異常の原因とされます。しかし有効的な対処法はなく、問題を分かりながらも対策が取れずにいました。
そんな中、改善の可能性がある成分は発見されました。それは米国のマサッチューセッツ工科大学の研究班によって確認されました。その成分が「リゾレシチン複合体」です。かなりの確率で汚染物質を無害化し、流産の確率を低下させることが期待されます。
詳しくは「流産の予防に期待!リゾレシチン複合体の効果とは?」でご紹介しています。
まとめ
私たちの周りには、多くの有害物質(化学物質)があります。意識的に防ごうとしても、すべてをシャッタアウトすることができません。それらの物質が胎児に影響をあたえ、流産の確率を高めている疑いはぬぐいきれません。予防策としては、それらの物質を無害化、または排出する努力をすることで、少しでも流産の確率をさげることが可能と考えられます。
コメント